どんどん気温が上がり、アイスコーヒーの美味しい季節になってきました。
毎年色々な抽出方法でアイスコーヒーを楽しんでますが、今回以前より構想していた「ある実験」をしてみました。
それは「抽出方法の違うコーヒーをブレンドしてみる」という手法です。
ざっくりこの記事は
- 同じ種類の豆を使用し(今回はストレート豆)
- 「異なる抽出方法」で出したコーヒー液をブレンドした3種類の味の評価
- 結果的にはいずれも「美味しい」コーヒーが出来る
- 無限にあるブレンドの足がかりになった
抽出方法による味の違い
最近ではコーヒーブームで抽出方法の違いで味が大きく変わるって事は多くの人?(マニアだけ?)が知っている事ですが、それぞれに特徴と言いますか、持ち味があると思います。
この抽出方法だと、香ばしさは良いがコクが弱いとか、またある手法ではドゲトゲしさが消えて円みのある味わいとか。
豆のブレンドや抽出温度など絡めると無限にあります。
違う抽出方法で出したコーヒー液をブレンドしてみる
今回の案は色々ある抽出手法の中から適当に複数選び、それぞれで抽出、そしてそのコーヒー液をブレンドしてみるって実験。
狙いは「各抽出方法の良いトコ取り」です。
初回となる今回の実験内容は・・・、
ポイント
- 水出しコーヒー
- ドリップで抽出
この2つのコーヒーをブレンドしてみます。
今回の狙い
水出しコーヒーの「コク(円やかさ)」、そしてドリップの「香ばしさ」の良いトコ取りが目標です。
使用する豆
普段使いで味がよく分かっている「コロンビア スプレモ フルシティ~フレンチレベルの焙煎度」です。
あ、自家焙煎してる豆です。
まずは飲み慣れたストレート豆で実験してみる事にします。
具体的なブレンドルール
ポイント
- ストレート豆
- 水出し
- ドリップ
たったこれだけの条件でも、実は組み合わせがかなりの数になってしまいます。
メモ
- 豆の粒度と量
- 水出し時の抽出量(濃く出して水で薄める手法なのか、または通常濃度まで抽出してしまうのか)
- ドリップも同様に松屋式みたいに濃く出して薄めるのか、普通に出すのか。
- ドリップ時の抽出温度はどうするのか?
- ブレンド時の分量はどうする?
上記の5項目だけでも相当な組み合わせが出来ます。
なので、以下に暫定ルールを設定して実験してみます。
豆の粒度と量
粒度に関しては、
ポイント
- 水出しに関しては通常の粒度、細挽きで実施。デロンギデディカで「3」の目盛。
- ドリップに関しては松屋式を採用する為、粗挽き。デロンギデディカの「17」の目盛。
でやってみます。
下の画像は目盛3に合わせた図です。1~20まであります。
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抽出量に関して
- 水出しに関しては通常の「ちょっと濃いめ」を狙って抽出。豆100g、水約900ml。
- ドリップに関しては、松屋式なので2倍濃度のコーヒー。今回は豆40g、お湯120ml、氷130gで実施。
で抽出してみます。
水出しの手法
水出しにも種類が2つあり、「浸漬法(しんしほう)」と「透過法(とうかほう)」があります。
ぱっと見似た感じの文字なので、ややこしいですね。
ポイント
浸漬法・・・漬け込む感じの抽出方法。フレンチプレスとかサイフォンとかも浸漬法。水出しだと、テーバッグみたいな入れ物にコーヒーの粉を入れておいて1晩かけて抽出する感じ。
透過法・・・読んで字のごとく、コーヒーの粉に水分を「通過」させて抽出する方法です。分かりやすいのが、ドリップコーヒー。水出しの場合は、ダッチコーヒーと呼ばれるやつです。よく喫茶店に置いてある理科の実験みたいな器具でポタポタ水滴たらして抽出してるあれです。
今回は、「透過法」を用いて行います。
実は理由があり、浸漬法で抽出したコーヒーはあまり好きでは無いからです(笑)
エグミが出る事が多く、個人的な好みの問題なんです。
ドリップ時のお湯温度
これに関しては、93度でまずは実施。今後の実験ではそれ以下の温度も計画中です。
また深煎りの豆の為、93度以上は雑味満載になる可能性が高いため、それは無しで。。。
ブレンド時の分量問題
あまり種類を多くすると表現が難しいので、大枠で実験。
水出し:ドリップの順で表記
ポイント
- 100:100
- 100:50
- 50:100
味覚に自信が無いので、違いが分かるかちょっと心配。
分量は計量カップで量ります。
結果
結果の前に、通常の水出しとドリップの味の感じを表記しておりますので比較対象にしてみて下さい。
深煎りなので「酸味」は入れてません。
※あくまでも個人の味覚なので悪しからず。
【水出し】
香ばしさ:40点、コク:100点、キレ:40点、苦味:10点、渋み:10点
【ドリップ】
香ばしさ:90点、コク:20点、キレ:80点、苦味:90点、渋み:10点
水出し:ドリップ=100:100の結果
- 味は非常に良い
- 複雑な味になった
- 香ばしさもコクも全体的に広がりが出来た感じ
香ばしさ:80点、コク:70点、キレ:70点、苦味:60点、渋み:10点
総じて「複雑な味わい」の表現が一番しっくりくる感じ。
ぱっと見の点数は下がっている感もありますが、バランスが良くなっているので、あくまでも「各項目の点数」と捉えてもらえれば良いと思います。
飲み慣れた焙煎度のストレート豆がここまで表現力が広がるのが不思議な感じがしました。
水出し:ドリップ=100:50の結果
- これも味は非常に良い
- 円やか主体だが、香ばしさもあり
- 基本ベースは「水出し」だが、アクセントが付いた感じ
香ばしさ:60点、コク:90点、キレ:40点、苦味:40点、渋み:10点
個人的には一番好みであった味。
水出し特有の「角がない」味ですが、アクセントに少々の「苦味」と「香ばしさ」がプラスして、通常の水出し以上の味になってます。
水出し:ドリップ=50:100の結果
- これも味は非常に良い
- 100:50の反対の顔になった感
- 基本ベースは「ドリップ」だが、「円やかさ」というアクセントが付いた感じ
香ばしさ:90点、コク:60点、キレ:50点、苦味:80点、渋み:10点
普通に飲んでしまうと普段のドリップ式のアイスコーヒーに感じしまう可能性あり。
ただ、コクと円やかさがアップしているので、「あれ?」と違和感は絶対に感じるレベルです。
今回使用した器具
いくつかご紹介しておきます。
ただ、今回使用しているダッチコーヒーの器具はかなり高額なので、安価で代用できる器具も合わせてご紹介しておきます。
今回当方が使用したものは大家族の方とか、大勢でコーヒーを飲む機会が多い方向けとなります。
雰囲気は抜群に良いので、お部屋のインテリアにもなっちゃいます。
こちらは「透過式」の器具です。
ちなみに、コーヒーマニアの方にプレゼントとして送れば狂喜モノのアイテムです(笑)
次に、少人数向けの器具です。
今回の様に「実験」レベルでお試しになるなら、こちらをオススメします。
こちらもお手頃価格ですが、コーヒー好きにプレゼントで送れば喜ばれるモノでしょう。
こちらも「透過式」の器具です。
でも、この手の器具は単純な作りになってますので仕組みを知ってれば「自作」って手もありますね。
そして、こちらがドリップ用に使った「松屋式の金枠」です。
セットになってるペーパーは非常に性能が良いのですがランニングコストが高いため、ハリオの円すいペーパーで普通に代用可能です。
クリアなコーヒーを抽出するなら松屋式です。
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注意点
いくつか注意点があります。ここを押さえておかないと、失敗する可能性が高いです。
注意
- 当たり前ですが、「新鮮な豆」を使用しましょう。
- 水出し、ドリップ共に抽出後は各々「味見」をしておきましょう。
この2点を押さえておけば実験が成功する可能性が上がります。
特に「味見」は非常に重要。
当然ながら抽出or焙煎をミスっていると、失敗する可能性が高いからです。
また、結果だけ見てしまい原因が分からない状態になってしまいます。
(実は適正に抽出してれば美味しかった可能性があるのに、「これは失敗ブレンド」と決定してしまう危険性があります)
大前提として、「適正に抽出された、普通に美味しい状態」でのブレンドが必要になります。
まとめ
今回は2つの抽出手法と、3種類の分量でのブレンドでした。
いずれも「味の向上が見られた」という結果になりました。
まさか同じ豆で抽出方法変えてブレンドすると、こんなに美味しくなるとは意外でした。
ストレート豆のアイスコーヒーでは今までで一番美味いかも・・・。
しかし、もしかするとブレンド豆や、ストレートでも豆の品種が変わると同じ結果にならないかもしれません。
また、あくまでも個人の味覚による好みなので、一般的に通用するかと言われれば微妙な感もありますが、コーヒー好きにはちょっとした一例として参考になるかと思います。
なにせブレンドの組み合わせは無限にありますので、お好みの1杯を作る事も可能です。
でも今回の2つの抽出方法は結構面倒な手法でもありますので、時間に余裕のある時に行うのが良さそうです。
次回の実験予定は、今回の実験時の課題として「水出し」で微量ながら「エグミ」が出てしまっていた点を改善した手法で行いたいと思います。
改善策は既に分かっており、更なる味の向上が期待出来ます。
次回のブレンド実験お楽しみに。